11月観た映画
「10月観た映画」を書いたときにあまりに時が経っていて、感想を思い出すのに時間がかかりすぎたので、今回は早めに書きます。
11月に観た映画
・イエスタデイ
・ターミネーター:ニュー・フェイト
・アナと雪の女王2
・殺さない彼と死なない彼女
〇イエスタデイ
「スラムドッグ$ミリオネア」のダニー・ボイル監督作品。
主演はヒメーシュ・パテルというイギリスの俳優。
「シンデレラ」や「マンマ・ミーア ヒア・ウィー・ゴー」のリリー・ジェームズがヒロイン役を演じ、さらにエド・シーランが本人役で出演。
売れないミュージシャン、ジャックが交通事故に遭って目覚めると、伝説のロックバンド・ビートルズが存在しない世界になっていた。
そんな世界で、ジャックはビートルズの曲を次々に発表し一躍スターになるというお話。
これね、最初この映画を知った時かわぐちかいじさんの「僕はビートルズ」が原作なのかな?って本気で思ったんですよね。
あの漫画はビートルズデビュー前にタイムスリップする話で、今作はビートルズの存在しない世界に来てしまった話なのでアプローチが全然違いました。
しかしまあビートルズの影響を無視して現代の音楽やるのは無理だろ!!って感じでちょっと斜に構えて観に行きました。
どうやら消えたのはビートルズだけじゃないぞという設定で、なるほど上手いなと心の中ですぐに謝りましたね。
全体通して、本当に奇麗にまとまっていて心が温まる素晴らしい作品でした!
ちょうど「ジョーカー」とか「ホテル・ムンバイ」とかヘビーな作品を立て続けに見てた頃だったのですごく心にしみました。
まず当たり前ですけどビートルズの楽曲がとにかく最高です。
ただ、この映画で僕が1番素晴らしいと思ったのが「世界にビートルズの歌を遺してくれてありがとう」というこの解釈。
途中、ジャックは自分と同じように「ビートルズの存在を覚えている人」と出会います。
ここで、多分全員なんとなーく想像していた「いつか盗作だと暴かれるのではないか」という展開がついに来たか!!ってなるんですよ。
と思ったらここでありがとうという言葉が出てくるんですよね!
これはやられましたよ!そうだよなあ!これが愛のあるファンだよなあ!
ここから、本作最重要人物にジャックは出会い、ある決意をするわけですが、その後のラストシーンにこの言葉が効いてくるのがまた憎い!!
ラストシーンのあるビートルズの曲で僕は号泣しましたよ!!
この解釈によって、この作品はビートルズ愛、人間愛に溢れる素晴らしいドラマになったと思います。
もうね、この本編ラストシーンはぜひ、見てほしいです!ビートルズのあの曲がカンッペキにマッチしてるんですよ!
ジャックがライブになると微妙に歌唱力が足りてなかったり、コードは思い出せるけど歌詞が曖昧だったり、細かいところが妙にリアルで笑えるのもいい。
あともうリリー・ジェームズ可愛すぎる!!
ちょっとご都合的なところもありますが、それ以上に心温まる1本です
〇ターミネーター:ニュー・フェイト
ジェームズ・キャメロンが製作総指揮、リンダ・ハミルトンがサラ・コナー役に復帰。
「ターミネーター2」の正統続編としてかなりの話題作。
監督は「デッドプール」のティム・ミラー。もちろんシュワちゃんも出てるよ。
公開直後に観てきましたが、まあ何よりリンダ・ハミルトンがすごすぎる!!
まるで何十年もサラ・コナーを演じ続けてきたかのような、ブランクを一切感じさせない演技ですよ!
キャラクター、雰囲気、アクション、全てがサラ・コナーそのものなんです!
これだけで見る価値があると思います!!
今回初出演のマッケンジー・デイヴィスも負けず劣らず素晴らしいアクションを見せてくれました。
彼女、美人なだけじゃなく、動きも本当にダイナミックできれいで、とにかく絵になるんですよ。
これまで「オデッセイ」や「ブレードランナー2049」にも出演していますがもっとアクション見たいですねー。
この2人の力もあって、アクションシーンはとにかく楽しめました!
敵が巨大トラックで追いかけてくるようなターミネーター的お約束もしっかりありましたし。
ただ、あまりにアクション一辺倒すぎるんですよねえ……
僕は「ターミネーター」「ターミネーター2」の魅力は逃避行の中で生まれる愛・友情だと思ってます。この2作は最先端VFXにSF設定と昔からある王道の逃避行を組み合わせたからこそ名作になったと思ってます。アクション一辺倒にならずに、逃走中の束の間の休息をしっかりと描いているんです。
今作は常に設定の説明とアクションでこういった人間ドラマがほとんどない。
シュワちゃん演じるT800の変化も説明的だし、そりゃサラ・コナーもブチ切れるだろって展開です。
正直、冒頭のショッキングな展開がピークでしたね。
新メンバーで続きがありそうな終わりでしたが、アメリカでも興行的にイマイチだったみたいで、もう続編はないんじゃないかなあ……
〇アナと雪の女王2
ディズニー史上最大のヒットを記録した「アナと雪の女王」の続編。
監督・キャストは前作からの続投ですね。
今何かとステマだなんだと騒がれてますが……
まず何より、アニメーションがすごすぎます。
毎回思いますが本当にディズニーは技術力でぶっちぎりで世界トップですよ。
もう水とか氷とか、自然のグラフィックが実写かと見間違うレベル。
音楽も本当にクオリティが高いし、曲に合わせたカット割りや演出のタイミングがとにかく絶妙です!
だからこそ、今回はストーリーがもったいないなあとすごく思いました。
いや、やりたい事はなんとなく分かるんですよ。
前作を受けて、エルサが本当の居場所と役割を見つけるという。
別にこれ自体はいいと思います。
ただ、ここに至るまでにあまりに色々な要素を入れすぎて結局複雑化して全部が浅く終わっている印象を受けました。
そもそも前作「アナと雪の女王」について。
僕はOP~let it goまでの流れが完ぺきで美しすぎて大好きでした。
ストーリー、キャラクターの感情の流れ、音楽が120%でシンクロしていて、これぞミュージカルの頂点だ!といっても過言ではないくらいです。
これを世界中の老若男女問わず楽しめる映画でやってしまうディズニーが怖いくらいですし、そりゃ天下取りますわ。
だからね、だからなんですよ。
今作のあまりのちぐはぐ具合に違和感しかないんです。
今回のテーマ曲into the unknown、曲自体は素晴らしいと思います。
しかしlet it goほどストーリーに合ってないんですよね。
エルサの心の奥底にある、本当の自分を探したいという想いが込み上がるのを歌っているわけですが、結局旅に出るのは国がピンチになるからです。
この「本当の自分を知りたい」と「国の危機を救いたい」という2つがどっちつかずになっており、作品全体のピントがぼやけている印象を受けました。
さらに今作は自然との共生をテーマに入れてきてます。
ここにエルサは本来の自分を見出すわけですが、それにしても今どきアンチテーゼでダムを使うってさすがに陳腐すぎやしませんか。
それに、森の原住民と王国民のわだかまりも結局なあなあで終わって和解もしていないし、物語的終着点に行きたいがあまり、色々な要素を入れすぎて逆に複雑になってる感じです。もっとシンプルにしても良かった気がします。
あとまあ、エルサがメンタル・能力共にあまりに最強すぎてアナの出番が恐ろしいほど無いんですよ。
最終的に、これエルサ一人でも解決できたじゃんって感じ。
クライマックスでエルサはとあるピンチに陥りますが、どうもその展開が唐突すぎて、アナを活躍させるために無理やりこの展開にしたんだろうな感が否めませんでした。
アニメーションとか音楽、演出と比較してあまりに脚本がとっ散らかってたのが本当にもったいないなあと思いました
近年「シュガーラッシュ」や「ズートピア」が異常だっただけでもともとディズニーアニメの脚本ってこんな感じかと言ってしまえばこんな感じな気もします。
前作も全体通してみると色々思うところはありますし。
〇殺さない彼と死なない彼女
監督は小林啓一さん。世紀末さんという方が描いたTwitter発の4コマ漫画の実写映画化です。
主演は「帝一の國」の間宮祥太朗さんと「ママレード・ボーイ」の桜井日奈子さん。
完全にノーマークだったのですが、「ムービーウォッチメン」のリスナーカプセルで出てきて気になったので観てきました。
これはねえ、やられましたよ!
正直冒頭はなんで今更こんな高校生の甘いラブコメ観なきゃいけないんだよ、と後悔しましたが、全然そんな事なかったですね。
自殺願望のある女の子と口の悪いイケメン。
好き好き言いまくる女の子とそれをひたすら受け流す男の子。
ぶりっ子と委員長系の女の子。
の3組のそれぞれの日常が順番に描かれ、一見無関係だがとある事件で3組は繋がっておりそれがクライマックスに近づくにつれて見えてくるといった構成です。
この構成が非常にうまいんですよね。
3組それぞれのなんてことない日常を描くことで、ところどころ出てくる不穏な影がより際立っているんです。
また、明らかに主人公たちのカップルだけ他2組と違いがありましてね、そこが最後に残りの2組と繋がるだけではなく、未来にも繋がる。
背景も3組同じ場所を使っていたりして映像的にもリンクがあるんですよ。
この同じ部分と違う部分のバランスによって徐々に繋がりが見えてくる、ある種の謎解きみたいな要素もあることで、飽きずに見れるんです。
本当に計算に計算を重ねた非常に巧みで見事な構成だったと思います。
それと同時に、キャラクターが不思議とリアルなんですよね。
全員ある意味漫画的というか、記号的です。現代の高校生そんな喋り方しねえよっていうね。
なのに、妙にリアルというか、1人の人間としてそこに存在しているんです!これがただただすごい!
自分なりになんでこんな現象が起きているのか考えてみると、キャラクター以外がすごい現実的な日常なんですよね。
制服の着こなし方とか、休み時間の様子とか、遊びに行く場所がららぽーとくらいしかないところとか。
この背景でキャラクターの毎日を丁寧に描いているからこそ、徐々に記号的だったキャラクターが溶け込んで、リアリティが生まれているのだと思います。
もちろん背景から浮かないように演じている役者の演技力も半端ないです。
原作をリスペクトしつつも別のアプローチで人物を描いている小林さんの手腕がすごすぎますし、こんな方法があったのかと衝撃を受けましたね。
そういうわけで途中からこの魅力的なキャラクターのとりこになってしまいました!
最後のある事件が突然起こる感じもなんというか妙にリアルで、ああ現実にも本当に突然起こるよなと、すごく現実味を帯びています。
あの淡々と進む感じが原因なんでしょうかね?喪失感がすさまじいです。
途中まで頑張って耐えていたのですが、最後の最後は号泣でしたね。
原作が4コマ漫画らしくて4コマっぽいシーンが組み込まれてるんですよね。
それがフフッてなる面白さで笑いもあるしほっこりするシーンもある!!
作中の楽曲がすべて奥華子さん作曲ですが、これも素晴らしい!!
いやあ本当に舐めてました。絶対つまんねえとか思ってごめんなさい!!
衝撃的な1本になりました
最高でした!!おすすめです!!
12月はクリスマス映画に加えて、徐々に賞レース作品も公開され映画館も熱くなってきますね!
そしてなにより、スターウォーズが控えてます!!!
今月も楽しみです!!!