10月観た映画
気が付けば全然更新してなかった。
週1くらいでの更新を目指したいです、マジで。
11月も下旬だけど先月観た映画の感想をつらつらと書いていきます。
Twitterでも見終わってすぐに書いてるけど、それのまとめみたいなもんです。
10月に見た映画
「ジョーカー」
「蜜蜂と遠雷」
「ホテル・ムンバイ」
「スペシャルアクターズ」
〇ジョーカー
「ハングオーバー!」シリーズを作ったトッド・フィリップスが監督で、主演はホアキン・フェニックス。
「タクシードライバー」や「キングオブコメディ」などマーティン・スコセッシの影響をかなり受けてて、というかオマージュだらけで、当の本人であるスコセッシも製作に参加したかったとか。スケジュールの都合で出来なかったらしいけど。
「アイリッシュマン」楽しみです。早く見に行きたい。
そんなわけでロバート・デ・ニーロも出演してます。
ヴェネツィア映画祭でも金獅子賞受賞し、オスカーもノミネートされるでしょうね。
なんかもうこの映画、手垢がつくほど語られてて……今更何言おうって思っちゃうのですが、まず何よりホアキン・フェニックスがすげえよ!!!
なんだよあのやせ方。ロッカーで背中丸めて靴紐結んでるときの背骨の浮き出方の恐ろしさ。
笑うだけで全ての感情を表現する表現力に、踊りのパフォーマンス。
ジョーカー役はヒース・レジャーが最高だと思ってるけど、また一つ別の形で最高なものが見れた!!
ほぼ確実にオスカー主演男優賞獲ると思うんですよね、個人的には「ロケットマン」のタロン・エガートンも推したいんですけど。
作品内でも言っている通り、これはコメディなんですよね。ところどころアーサーの動きがコミカルで。
病院で子供たち相手にピエロの仕事してて、お、順調じゃ~んって思ったら拳銃落としちゃってあわあわするところとか、笑っちゃいけないんだけどつい笑っちゃう。
これは持論なんですけど、人間1番心打たれるのって行動と感情が正反対の時だと思ってます。本当は泣きたいくらい辛くて悲しい状況なのに、周りには笑顔でいるとか。
まさにこの映画は全編それ!それ!それ!って感じで、胸を打たれまくって苦しいんですよ!
これはコメディ映画の天才、トッド・フィリップスだからこそ作れた作品だと思います。
やっぱり笑いを作れる人ってメチャクチャ器用なんだなあと実感します。
だからこそこの映画がどうやって企画されたのか本当に気になります。
そもそも今1番流行に乗ってるアメコミでアメリカンニューシネマをやろうと言い出したのは誰なのか、その流れでトッドフィリップスを起用したのはどういう流れなのか。
正直ワーナーとDCを舐めてました。ものすごい企画力です。天才です。
原作は恩田陸さんの小説で、直樹賞も受賞。石川慶さん監督。恥ずかしながら原作を読んだこともなければ、石川監督の作品も初めてでした。
主演は去年「万引き家族」に出てた松岡茉優さん。さらに松坂桃李さんに、これも去年「レディ・プレイヤー1」で「俺はガンダムで行く」という名ゼリフを生み出した森崎ウィンさん出演。
ちなみに、「俺はガンダムで行く」は本当に森崎さんが考えて監督に提案したらしい。
さらに、今回がスクリーンデビューとなる鈴鹿央士さん。
映画を見に行くと結構な確率で予告をやってまして、どんなもんだろうなあと思って見に行きましたが、いやいや、そんな気楽に見ていいもんじゃなかったです。
ざっくりあらすじを言うと、かつての天才ピアノ少女がコンクールに復帰し、さらに期待の若手に突如現れた天才が出会い、コンクールで競い合う話。
とにかくこの映画、天才の描き方が半端ない。
音楽の天才が見えている景色や聞こえている音を、我々凡人が理解できるように映像表現に落とし込もうというのが随所に見てとれました。
天才3人が海岸に遊びに行くシーンとか、クライマックスで葛藤するシーンとか、自然の音がとにかく出てきてですね、あ、天才って周りの音がこういう風に聞こえているのかと思えてくるんですよね。
新人の鈴鹿さんの演技もまたピュアな天才って感じがして最高!
この効果を最大限に引き出しているのが、松坂桃李さん演じる裏の主人公・高島明石なんですよね。作品内に凡人の目線があるから天才がいかに我々から離れたところにいるのかがよく分かる。それでいて、「生活者の音楽」という凡人である明石だからこそ演奏できる曲が天才たちに影響を与えている。ただの解説役で終わらずに作品として必要不可欠な存在になっているあたりもう見事な構成力ですよ!!
あとはもうコンクールの緊張感が役者の演技も相まってひしひしと伝わってきますよね。松岡茉優さんが力強くピアノを弾かないと強い音が出ないところとか、演奏直前のステージに上がる瞬間とか、本当に細かく丁寧で、ホール内の空気が劇場にも伝染してました!!
今年の邦画で1番なんじゃないかってくらい面白かったです!!
余談ですが、普通エンドロールって最後に監督の名前が来るじゃないですか。
石川監督、自分の名前出さないんですね。なんか真ん中らへんで出てたらしいのですが、完全に見逃しました。
この謙虚さというか……そこくらい堂々としていいだろ!とも思いますがw
〇ホテル・ムンバイ
オーストラリア・インド・アメリカの共同製作映画。
2008年にインドで起きた同時多発テロ事件で最高級ホテル、ホテル・ムンバイで実際に起きたテロリストによる襲撃事件を基にしたストーリー。
主演は「スラムドッグ$ミリオネア」のデーヴ・パテール。
あらすじとしては、無差別テロの襲撃を受けた最高級ホテルで、従業員が命がけでお客様を守るといったものデーヴ・パテールはホテルの従業員役をしております。
なんとなく察しがつくとおり、気持ちのいい映画ではないです。大抵日本でやるこの手の話って脚色されてるというか、ドラマとして見れるようにかなり手が加えられてる印象ですが、(もちろん、ホテル・ムンバイもそうしているのだが)とにかく今作は事実に近いというかドキュメンタリーのような映画です。
一言で言うと慈悲がない。言い方悪いが、あっさり銃で撃たれて殺されてしまう。だからこそ犯行グループの非道さ、そしてテロの恐ろしさがひしひしと伝わってきます。
僕なんかはもう24とかミッションインポッシブルとか大好きで、小学生くらいから学校にテロリストが襲撃した時の妄想なんてよくして、大抵テロに勝利していましたが……
無理です。
あれはフィクションです。
普通の人はまずとにかく逃げないと駄目です。
大人しく、抵抗しないで静かに待たないと駄目です。
だからこの映画、一見あらすじだけだと、テロと戦う英雄伝みたいな感じですが実際はただただテロの恐ろしさが分かる話です。自分や、家族・恋人・友人が命を落とす怖さが非常によく伝わります。
面白いのが、ヒューマンドラマを極力排除したからこそ、逆にヒューマンドラマが出来ているというか。
現実の恐ろしさをありありと見せてるから、従業員がお客様を第一に考えて、裏口から逃がすだけでも(だけといってもこれものすごく勇気がいりますが)ホテルマンとしての信念が伝わってくるのです。
さらにこの映画、すごいのはテロを実行した少年たちでさえ、被害者なのでは思えてしまうところ。
後半になるにつれ、実行犯が若者であること、生まれが貧しいこと、首謀者に家族のためにとずっと言われ続けていること、がどんどん見えてきます。
もちろん彼らの行動は許されないものですが、実行犯をただ憎むだけで終わらない、生まれで全てが決まってしまう根深い社会問題まで見える非常に重厚なつくりを感じましたね。
10年以上たった現在でも、ホテル・ムンバイで働いてる従業員の半数以上がこのテロを経験したホテルマンらしいです。
実際超高級ホテルなのでぜひ1回泊まってみたい!
〇スペシャルアクターズ
あの「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督長編作品2作目。正確には共同製作で「イソップの思うツボ」というのがありましたが。
今作は「松竹ブロードキャスティングオリジナル映画プロジェクト」の一環として、オリジナル脚本に、自由応募で集まった俳優からワークショップを通じて選ばれた15人が出演するという企画。
早い話が、カメ止めと同じで人材発掘を目的とした作品をという事です。
前作「カメラを止めるな!」が社会現象になるくらいの空前の大ヒット、実際にメチャクチャ面白かったですからねえ。
この次となる今作にかかるプレッシャーは相当のものだと思います。
完全オリジナル脚本・役者は無名・製作費も少額、この条件下で上田監督は本当によくここまでの作品を作ったなと感動してしまいました。
すげえ頑張ったよ!!上田監督!!
あらすじは、役者志望だけど緊張すると気絶してしまう男が、弟に誘われてスペシャルアクターズという俳優事務所に入る。そこは、裏で芝居を使ってお悩み解決をしている団体であり、主人公は仲間と共に新興宗教と芝居を使って対決するというコメディ。
見終わった後は、出来のいい小劇場作品やミニシアター映画を見た時と同じ感覚になりました。
笑えるシーンは笑いまくったし、ちゃんとまとまった作品になっている。おお、いいもん見たな!って感じです。
ただそこ止まりなんですよね……
脚本の構成も詰めが甘い感じ。カット割は単調だし、役者の演技も上手いとは言い難い……
とても上映館140館でシネコンで公開されるタイプの映画ではないんです。
正直気になるところや突っ込みどころはあるのですが、僕はこの作品本当に大好きです。
上田監督や出演者の映画愛作品愛がものすごく伝わってくるんです!!
やっぱり製作者の愛や熱意が伝わる作品が1番ですよ。
そういう意味で、この映画はエネルギーが伝わりやすいミニシアターで見たい作品です!!
この愛に溢れたところがカメ止めから何も変わっていなくて本当にうれしかったです!!
だからこそ思うのが、なんでカメ止めと同じことをやってんだよ!!ってことです。
なんで松竹は、上田監督がこのプロジェクトに参加することを止めなかったのでしょう。
映画界を何段飛ばしもしたからこそ、2作目は慎重に行くべきだと思いました。
シネコンで配給されるような大作映画を撮るならば、原作をつけるか、有名俳優を主演に置くか、ベテランと組ませるか、色々方法はあるはずです。
そもそも、上映館140館なのに一切宣伝にお金をかけず、監督と出演者に丸投げ。上手くいくわけがないでしょう。
カメ止めみたいにSNSでバズれば宣伝費かけなくても売れるっしょ~という松竹側の思惑が透けて見えて本当に悲しかったです。
あれは奇跡だから!!監督が奇跡を信じるのはいいけど、製作会社が奇跡を信じちゃダメだろ!!
出演者も同じ宣伝方法(SNSと舞台あいさつ回り)なんてカメ止めと比較されるわけですし、同情してしまいます。
ほとんど人入ってなかったけど製作費がかかってないから、恐らく赤字はないでしょうが……
作品と上田監督は最高なのに、少し残念な結果に終わってしまいました。
東宝くらい宣伝力があれば結果は違ってた気がします。
特にオチとかないので、この辺で。